二重時間者

四郷威智



1899年4月

マンシー・マガジン
21(1)
 「新ウォール・ストリート」なる記事から始まっている。今号はパブリック・アイのセクションがちょっと内側になっているね。今月のこのセクションでは米国留学経験のある小村寿太郎が日本の新首相になったことが報じられている。ここで、あと聞いた事ある名はブッカー・ワシントンぐらいね。「フィリピン人」とゆー記事があって、ホープ、ペンバートンの連載、それに「我等がスペインとの戦争」はあいかわらず続いております。

コスモポリタン
26(6)
 「モスクワのナポレオン」とゆー記事ではじまる。で、The Awakening by Count Leo Tolstoy。そいで「組織における大問題」があって、そのあとに「フランス軍はいかにして海峡を越えるか」という未来戦争な物語がはじまります。Quatre Etoilesって、名義になってるけど、何やろね、四つ星って? ともかく1904年にイギリスめざしてフランス軍が海を渡りはじめます。そのあとは「ジョン・ウォーレル・キーリーのとてつもない話」ということで、写真を見る限りでは、あやしい発明家のキーリーさんの紹介記事です。で、「帝国の建設」の続き。「古代寺院における仕掛け」を説明する記事。「理想的かつ現実的な家計」とゆー記事。それからガラガラヘビの記事があって「オリヴァー・クロムウェル」の続き、「大学と民主主義」The Nemesis of Motherhood by Harriet Prescott Spofford、「演劇と俳優」ってなかんじ。

ストランド・マガジン
17(4)
 今月号は記念すべき通巻100号である。ということで今月の冒頭はストランド小史をGeorge Newnensが語っております。ドイルの炉辺物語第9話は、The Story of the Latain Tutor。こいつも覚えがないなあ。と思い出す努力もせず、すっとばす。続いて「バーン・ジョーンズが子供へ宛た手紙」という記事。子供相手には別にファラエロ前派では通してなかったんですな。マンガっぽい絵ですわ。まあ、それが面白くてストランドも取り上げたんだろうけどね。その後がW.W.ジェイコブスのA Question of Habit。さらにその後のグラント・アレン自然観察物は擬態の巻である。
 イラストレイテッド・インタヴューはヴェレシチャーギンの巻。誰やそれっと思ったらロシアの画家で、露土戦争などの戦争に取材した写実的な戦争画や風俗画を描いていたそうである。でも、この五年後には、日露戦争でバルチック艦隊について来たため撃沈されてお亡くなりになるのである。
 The Tale of the American Volunteer by Neil Wynn Williams、パンチについての記事の続稿、グラント・アレンの「ヒルダ・ウェイド」の続き、Two Railway Sensationsは列車のスピード競争と、機関車正面衝突ショーを紹介。そーゆー馬鹿なことをやるのはもちろん、アメリカである。
 The Gentle Custom by Arthur I. Durrant、続いて「液体空気」を紹介する記事。そいでもってウエルズの「ブリシャー氏の宝」。これは『犯罪文学傑作選』(創元推理文庫)に収録されてますな。From Behind the Speaker's Chairってのがあって、そいでもってThe Seven Dragons II。The Purple Stangerの巻。いや、イラスト見てると面白そうなんですけどね。はっはっはっ。読んでません。

 ところで前回、「きつねもち」ってなんじゃ、と書いたけど、チェンバレンの「日本事物誌」(東洋文庫)を眺めていたら出とるがな、君。なんでも「きつねもち」というのは狐を使い魔(?)として飼ってる人のことらしい。それは「狐使い」だと思ってたがそおなんか。じゃあ、愛玩動物として狐を飼ってる人はなんなんだ。「狐飼い」なのか。
 単なる前科者より、「はばかりながら前科何犯」と犯罪歴を振り回すほうが「凶状持」な気はするし、溜め込ん出るだけの人より、札ビラで頬をはる方が「金持」な感じはするし。狐をけしかける方が「きつねもち」ではある。(そおかぁ?)



19|00 | 18

1999年4月

日本古書通信4横田順彌明治時代は謎だらけ!!ジャップ・ミカドの不思議?
SAPIO5-12横田順彌近代国家成立期の明治時代に日の丸、君が代はこうして扱われた 
モノマガジン4/16岡田斗司夫おたくの歩き方第32回インターネット編4
モノマガジン4/16岡田斗司夫新オタク日記3/1-3/15
モノマガジン5/2-16岡田斗司夫新オタク日記3/16-3/31
ダ・ヴィンチ5笠井潔創元推理文庫創刊40周年記念スペシャル 
NAVI6笠井潔A history of my reading[読書の心臓]岸田秀『ものぐさ精神分析』
ダ・ヴィンチ5菊地秀行創元推理文庫創刊40周年記念スペシャル
本の雑誌5鏡明連続的SF話178「百年の物語」
翻訳の世界6金子伸郎1月号課題講評ダメ本をつぶすためのリーディング
太陽5荒俣宏ザラ紙の楽園アメリカ大衆マガジン再発見4懐かしきヒーローの逆襲
芸術新潮5荒俣宏ワセダの杜の”演劇廃棄物”見物記 
芸術新潮5荒俣宏エンパク実見ショック覚めやらず対談松本幸四郎と
本の雑誌5山岸真SF新世紀ホラーファンもSFファンも必読の牧野修の新刊[偏執の芳香]
ダ・ヴィンチ5小松左京文学に、マンガやゲームを含めるべきだと思うね芥川賞をとらせたいマンガ
オール読物5清水義範成長の頃
小説現代5清水義範とりもなおさず社会科第九話 二十世紀はこう始まった
現代5清水義範貴重な文献、小六女子の作文を公開します「遠く学校から離れて」17
本の雑誌5大森望新刊めったくたガイド今年最大最高の娯楽超大作『エンディミオン』が出たあっ!
ユリイカ3大瀧啓裕雪景色と『ナショナル・グラフィック』ワールド・カルチュア・マップ幻想通信
ユリイカ2大瀧啓裕WHEN WILL THEY LEARN?ワールド・カルチュア・マップ幻想通信
ユリイカ1大瀧啓裕CD−ROM版百科事典戦争ワールド・カルチュア・マップ幻想通信
小説宝石5大沢在昌AD2023涼子最終回
ユリイカ1巽孝之偶然の発明ラリイ・マキャフリイとの対話
翻訳の世界6巽孝之アメリカ文学の思想9リパブリカニズム(3)
ユリイカ2長山靖生二○世紀の終り方 近代日本「終末小説」事情 
ダ・ヴィンチ5田中芳樹創元推理文庫創刊40周年記念スペシャル 
小説現代5南條竹則著者の声『セレス』についてのインタビュー(清原康正)
ダ・ヴィンチ5二階堂黎人新本格推理、マンガを語る!ゲスト・笠井潔
ダ・ヴィンチ5眉村卓文学もさまざまな表現のワン・オブ・ゼムなのだ芥川賞をとらせたいマンガ
翻訳の世界6風間賢二書評天国 
ユリイカ2風間賢二アポカリプス・ナウ 
本の雑誌5北原尚彦神田番外地日中戦争を主題とした作り替え「謡」の本『支那事変小謡集』
ダ・ヴィンチ5 百人書評『屍鬼』


19 |00 |18

0005

 いや、今月は二本原稿を書いて、なんとか遅れを取り戻そうとしていたのに、なんと締め切りにすら間に合ってないという情けない事態。ううむ、なんとかしてこの三重時間者状態からは抜け出たいなあ。
 久々に調べ物で大阪府立中央図書館に出掛ける。ここはある程度まとまって戦前のストランドとコスモポリタンを所蔵しているので、近所の人は、現物を買い集めるなどという馬鹿なまねはしないで、ここを利用するのが正解です。俺も、手の届く範囲の値段では、まあそうそう現物を揃えられないので、ここをかなりあてにしているのである。で、カード目録で請求記号を調べ、申し込み用紙に書き入れて申請すると、コンピュータ目録からの出力で申し込めるはずと言われる。ううむ、ちゃんと遡及入力しているんだねえ。偉いっ。
 まあ、学術雑誌総合目録にデータを入力してるんだから目録データの基本部分は以前から電子化されてるんだろうけど、合本毎の個別データを入れるとなると、それはそれで手間だからな。っと、出て来たのが別の巻。ううむ、すいません。と、出しなおしてもらったら、なんと行方不明といわれる。コンピュータにはデータが入ってたような気がしたが。現物から入力したんやないのか。ということで、謎はとけず。まあ、別の部分が見られたので、良しとしよう。
 ところで、プロのコピー・オペレータ(というのかコピー取りのおじさん)は偉いね。いや俺は気が弱いんで本をがしっと複写機のガラス板に押し付けるってのがどうも出来ないのね。一応、俺の年齢より若い本、昭和40年代以後の出版物はまあ、劣化の度合が少ないはず、残存部数はかなりあるはずだから、俺の本がつぶれても、世の中には代替物がいっぱいあるはず、などといいきかせてコピーをとるのだが、それ以前のものはねえ、抵抗があるんだよなあ。昔、T橋さんに、コピーとるならもっと奇麗にとれよ、そうそう壊れるもんではないと言われたことがあるが、いやなかなか、根性なしには辛いものが。物にもよるが、やっぱり壊れるものは壊れるもんな。で、コピー取りのおじさんは、情け容赦なく本をガラスに密着させてすばやく本を取っていくのである。まあ、綴じがいかれるだけだと思えばねえ、いいんだろうけど、ブツブツ。
 とまあ、オチのない話でもうしわけない。ともかくわしにコピーを頼んだら真ん中が真っ黒で、判読できないところを、さらに判読できないぐしゃぐしゃな手書きで補ったヤツが届くことになるので、頼まないよーに。

(C)Copyright 1999 YOTSUZATO Taketomo. All rights reserved.



19 |00 | 18

THATTA 135号へ戻る

トップページへ戻る