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岡本家記録とは別の話(20世紀最後の日篇)

 岡本家記録(Web版)(12月の読書日記)もご参照ください。

 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 

オンラインブックストア
 今年と今世紀も最後の日を迎えつつあります(12月30日)。
 ところで、今年は私の購入書籍数が、増加に転じた年でもあります。90年代に入ってから、長期低落傾向を示していたので(読まない本は買わない)、不思議な現象です。つらつら振り返ってみるに、SFの復活もあるけれど、それだけが原因ではありません。
 最大の理由は、bk1、bol、Amazonと続いたオンライン書店の誕生でしょう。これ以前でも、リアルな(ハードな)書店、たとえば紀伊国屋等は、Webで書籍販売をしてはいました。何が異なるか、ハード書店の場合は、店頭にある在庫を郵送により販売するもので、納期が1週間程度かかります。片手間仕事ですね。送料も高く、年会費を取るなど、まあ一般向けのサービスとはいい難いものでした。
 ヴァーチャル書店は、それに対して、原則として在庫を持っていません。取次ぎに対する直接注文で、納期1〜3日、送料がなく、支払い手続きが簡便なのが特徴でしょう。なんと言っても送料がかからないのが大きい。送料サービスは期間限定が多いようですが、間違ってはいけません。無料だからこそ、本の衝動買いが可能なので、有料ならこれだけ買うこともなかったはずです。人間の動機付けなんていいかげんなものです。それを阻害する要素はできる限り除くことが肝要です。Amazonの保有しているワンクリック特許(有名なビジネス特許。一回クリックしただけで、本代がクレジットカードから差し引かれ、品物が送られてくる)の価値も、そこにあるわけです。買い手に考え直す余地(手間)を与えてはいけません。
 とはいえ、欲しいときには確実に手に入る可能性では、ネット書店にも問題があります。新刊が手に入らない場合があるからです。昨年のクリスマスで、アメリカの大手ネットショップ(本に限らず)は、注文に応じきれずにアナリスト(株屋)の失望を買いました。もっとも儲けられるときに稼げないような会社に未来はない、というわけです。これが、ネット系ベンチャー株の評価を下げた一因ともいわれています。ネットでの注文は、平均化せずに雪崩的に膨らむ傾向があります。最大ピークに備える投資(ネットの回線やサーバ強化+サービス要員、何より品物の確保)は、並大抵ではできませんが、これを怠ったサイトにお客は寄り付きません。この場合も、雪崩的に悪評が立って、誰も寄り付かなくなるわけです。日本でも、パソコン系の通販ショップは、多くがボーナス時期(繁忙期)になるとサービスが極めて低下します。これでは、ネット販売が一般化するのは難しいと思わざるを得ません。
 ネット専業大手の3書店の場合、各社によってサービスに違いが出ています。bk1は近刊の予約が売りでしょう。bolの場合、近刊(つまり現在在庫がない本)は、検索しても在庫なしと出てくるだけで、不親切です。ただ、在庫数量はbolの方が豊富なようで、予約しないで買える確率はこちらが高いようです。届くまでの日数では、Amazon、bol、bk1の順でしょうか。
 3書店ともに問題なのは、これらが検索による本の指名買い向きという点でしょう。SFの新刊だけを全部表示することはできても、通常の書店の平積みで見られるような、網羅的な一覧は得られません。SF、ファンタジイ、ホラーなどのクロスオーバーした作品が多数出ている現状では、1つだけのキーワードで内容を表しきれないからです。この場合、キーワードはどれでもヒットするように、何重にもかけておく必要があります。
 アナウンスの仕方も、毎週届く新刊案内(メールマガジン)で、羅列的なリストでは、買う気にまでつながらないでしょう。新刊を書店形式で粗く分類し、書影が一覧で表示されて、クリックすると内容紹介があらわれるというだけで、だいぶ印象は違うと思われます。書店が無数にある都心であっても、何時でもどこからでも買えるメリットはオンライン書店を超えられないのですから、単なるブック検索サービスだけではない、通りすがりの客を引きつける努力も意味があるはずです。

 さて、本年は、あまり系統だった連載はできませんでした。来年にはもう少し一貫した内容で書いてみたいと思っています。ビデオレターとかね。
 また21世紀も宜しくお願いいたします。 


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