岡本家記録とは別の話(京都SFフェスティバル2005篇)

 岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。10月は 『ディアスポラ』、『シャングリ・ラ』、『みんな行ってしまう』、『血液魚雷』などを収録。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。

 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

京都SFフェスティバル2005

  10月だというのに京フェスはもう終わっていて、気分は年末モード。というわけで、京都SFフェスティバルのレポートを掲載します。ただし、今年はプログラムの数も多く、(少なくとも自分が出ていたものなど)動画収録できないものや、写真公開ができないものまであるため、今回は音声のみを収録しました(というか、音声のみを切り出した)。さわりの部分が聞けるので、雰囲気はいつもより味わえるかもしれません。音量は適当に調整してください。

※ 編集者注 音声ファイルはサイズが非常に大きかったため、始めの約1分のみをアップしました。全体が聞きたい方は、著者までご相談ください。


森見登美彦 (聞き手)細井威男

1.森見登美彦インタビュー
(音声は96kbps ADPCM、Windows Media Player他で再生できます。声が小さいので注意)


牧眞司 林哲夫

3.SFファンのための世界文学入門
(音声は96kbps ADPCM、Windows Media Player他で再生できます。声は大きい)


塩澤快浩 桜坂洋 桜庭一樹 新城カズマ(モザイク) (聞き手)三村美衣

4.リアル・フィクションとは何か?
(音声は96kbps ADPCM、Windows Media Player他で再生できます。新城カズマさんは画像公開禁止です)


 さて、ご存知のように大森望は京フェスの朝に、心筋梗塞で緊急入院しました。会場に着いてからそれを聞いた筆者は慌てふためき(というのは大げさですが。そのとき聞いた病名は「腹痛」だったので)、代わりの出演者を探すハメに。当日2番目の企画「書評? ブックレビュー? その意味を問う」 (注1)は、大森望を囲み、なぜ大森書評のようなマニアックなものが、一般読者にも通用するのかを追及する企画だったからです(筆者の構想)。そのため、以下のようなレジュメまで作成しました。

 当日プロジェクターで写したパワーポイント原稿(pdfファイル)
 (pdf設定の関係で縦に表示されますが、90度横回転させてごらんください)

 これまでプロジェクタを使う企画は、理科系企画のみだったので、ちょっとはユニークだったかも。結局、大森望の代わりに、喜多哲士、牧眞司を加えて、水鏡子、筆者の4名による、むしろベーシックな書評企画になったと思います。ただ、その後のネットの反響を読んでみると、(出演者の知名度が低いせいですが)企画の意味が分からなかった人が多 い。中には明確に「大森望」目当てで来た人もいたようです。確かに午前中の森見登美彦や、ラストの桜坂/桜庭/新城と、大森望は(読者からは)同じ位置づけなのかも知れません。

 ということからすれば、パンフレットの紹介記事が「SF評論家」だけで、著作もあるのかないのか分からない出演者は、ちょっと期待はずれですよね。牧眞司の「(大森望のような)官立大学出は 考えることが違う」という冗談まで本気で捉えて、「恨みでもあるのか」とか書いてあるのを見ると、もはや内輪幻想(上記レジュメ参照)などないことが分かります。それならそれで、Thatta Online読者限定、登場人物(出席者)の対大森望プロフィールを書いて、当日の話を分かりやすくしておきましょう。

注1:企画の表題は、正確には「ブックレビュー? 書評? その意味を問う」であり、これはジュディス・メリルの評論集『SFに何ができるか』(1972)の原題を直訳したもの のパロディ。(中高年以外では)誰も気がつきません。



注2:タメにならない登場人物紹介

  1. 喜多哲士(1962) 大森望の後輩
     
    人気HPを持っているので、このメンバー中では一番有名。かつて立命館大学で手書きファンジンを発行していたが、海外SF関係とは関係がなく、芸能/スポーツネタや 伝奇/シミュレーション小説のレビューに才能を発揮。SF大会がらみで筆者と知り合い、SFアドベンチャーに推薦したことでデビューを飾った。アドベンチャー、SFマガジンをはじめ、各種解説、レビュー多数。年齢で見ると大森同輩といえるが、登場人物的には虐められる後輩?
     

  2. 水鏡子(1953) 大森望の師
     かつて「Orbitの子供たち」(今で言う「小泉チルドレン」と同じニュアンス)と呼ばれた世代があった。そのOrbitの終期を編集していたのが水鏡子(Orbitは翻訳/評論のファン雑誌で、発行人は現SNE社長の安田均だった)。大森望、牧眞司、山岸真らがその 読者にあたり、水鏡子は彼らに大きな影響を与えた。水鏡子師/師匠(googleで検索してみてください)と呼ばれることがある。著作は1作のみだが、さまざまな 雑誌/書籍で解説/評論記事は多数執筆(本誌を参照)。なんだか『四畳半神話体系』の師匠みたいだが、当たらずとも遠からず。
     

  3. 牧眞司(1959) 大森望の気が置けない友人(ライバル?)
     
    大森が京都SFフェスティバルをはじめるきっかけは、牧眞司らが開催していた「SFセミナー」の関西版だった。共通の師匠と共通の話題(当時関西はOrbit師匠世代による海外SFの紹介/翻訳が主流だった)により、大学も出身地も関係なく友人になる。専門ジャンルはまったく異なるが、発想や考え方 (性格も?)良く似ている。登場人物的にはライバルという位置づけがふさわしいのかも。フリーランスの翻訳/編集者で著作1冊、評論の翻訳他、レビュー多数。
     

  4. 岡本俊弥(1954) 大森望の(冷静な?)先輩
     
    別に大学の先輩というわけではないが、KSFA(Orbit師匠世代の関西ファングループ)入学以来の先輩であることは間違いない。岡本の書くSFレビューは、大森の感想と波長が合っているらしい。そもそもリーダビリティー重視のレビューは、KSFAが得意とする分野だった。プロ雑誌で、累計15年余りのレビュー歴あり。編訳書3冊、レビュー等多数。
     

  5. ちなみに、大森望は1961年生まれで、 1歳年下の三村美衣は大森秘書(今でもそうか)を自称していた。上記範囲の人々は、つまり内輪幻想(簡単な符丁で通じ合えるプロの小集団、またそれを理解するファンとの共同幻想を指す)の範囲である。また今回 企画登場の作家は、全て70年以降生まれ。

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