岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。4月は『沈黙のフライバイ』、『老人と宇宙』、『星新一 一〇〇一話をつくった人』、『世界文学ワンダーランド』、『巨船ベラス・レトラス』、『グッド・オーメンズ』などを収録。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。
 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

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 4月の記事と思っている間にもう5月ですね。先月も同じことを書いたか。

 早川書房の異色作家短編集が完結しました。河出書房の短編アンソロジイから人気が復活し“異色作家”という言葉も一般化しましたが、源流に遡れば、47年前の1960年に刊行されたこの叢書に行き当たります。しかし、同シリーズにはこれまで合計3つのエディションが存在します。


異色作家短編集の変遷


 最初期の18巻(1960年〜65年)は函入りの上製本(薄い布製の表紙)、月報(作家/著名人がエッセイを寄せたリーフレット)付きで、時期により3色に色分けされています。最初の6冊は赤、次の6冊が黄、最後の6冊が緑です。もともと6冊のみの企画が好評のために継続され、最終的には18冊。また刊行の順序も巻数とは異なるものでした(最後に出たのが16巻の『蠅』)。平均360円は安いようですが、当時創刊されたSFマガジンが120円だったことからすれば、今のハードカバーと変わりありません。70年前後まで一部の作品は増刷されています(例えば、私の持っている『一角獣・多角獣』は1970年の再版。そのため、この巻の初版定価が不明です)。今と違って、当時は物価が急激に上昇しており、同じ本が増刷されるだけで定価が2倍に上がったりしました。

元祖異色作家短編集 

 2番目は「改訂版」と称される12巻(1974年〜76年)です。これは初期の18冊から12冊をセレクトして、四六判上製本(ふつうのハードカバー)で出し直したものです。ただし、セレクトといっても最初の6冊は同じで、次の6冊もブラウンが抜けた以外は同じ、最後の6冊からはシャーリイ・ジャクスンのみという変則的な選び方になっています。おそらく、予想したほどの売れ行きがなかったのでしょう。畑農照雄の表紙は良かったものの造本の魅力が薄いシリーズで、私自身このエディションは1冊も持っていません。

 3番目は現行のシリーズです(2005年〜07年)。函こそありませんが判型は最初のものと同じになり、40年前の雰囲気を(いくらか)伝えています。とはいえ、中身が変わらず装幀を変えただけなのは2番目のシリーズと同じなので、新奇性に乏しい内容でしょう。唯一若島正編の新作アンソロジイが注目されます。初期シリーズで常盤新平編集長(当時)が書いていた、“収められなかった新しい異色作家作品集”が実現しているのですから。







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