岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 ホームページ>ブログ=SNS>Twitterという流れがあり、しかし、それをみんな並行して続けている人はあまりいません。ホームページの更新がないなと思った人はmixiに書いていて、mixiでも見かけない人はtwitterに移っています。後に行くほど簡単に書けるし読める。twitterに至ってはレイアウトも何もない。ひたすらNEWSが続くのみなので、読み飛ばしても平気。最近筆者も、(ほとんどつぶやいてないけど)twitterです。ところで、今月はブックレビューです。

Amazon『ミラクル三年、柿八年』(小学館)


かんべむさし『ミラクル三年、柿八年』(小学館)

カバーイラスト:ヒロミチイト(ペンスチ)、カバーデザイン:名久井直子


 かんべむさしの体験(ラジオのパーソナリティ)を基にした長編小説。実際の番組名は「むさし・ふみ子の朝はミラクル!」で、ラジオ大阪(OBC)から月曜金曜の平日毎朝6時15分から8時52分まで、期間にして2005年4月から2008年6月の3年2カ月放送されたものだ。本書の登場人物は、本人とゲスト以外仮名に置き換えられている。たとえば、コンビを組んだアナウンサー中西ふみ子が中崎くみ子といった具合である。

 1通のメールがきっかけとなって、かんべむさしはラジオの帯番組を引き受ける決心をする。57歳を迎え、作家としての節目を感じていたかんべにとって、新たな体験が重要な価値を生み出すと感じたからだ。しかし、広告業界での経験から間接的に知っていたとはいえ、そこは作家と全く異質の世界だった。ライバルの長寿番組と同じ時間帯で、個性的なスタッフたち、ゲストたち、リスナーたちとの交流を得ながら新人パーソナリティは苦闘する。

 著者は、デビュー以来年間2作から4作の著作をコンスタントに出版してきた。2000年以降そのペースはやや落ちたが、2005年から本年までの5年間は空白になっている。それだけのパワーをこの放送に費やしたことになる。なぜ著者がラジオのパーソナリティを引き受けたか(短期間のラジオ経験はある)、慢性的な出版不況とラジオ/マスコミの変化(やがて来るデジタルラジオの時代)、リーマンショック直前の金融不安(この番組も、スポンサーの降板による影響で打ち切りとなる)など、そのあたりの世情を交えて、本書ではダイナミックな経緯が伝わってくる。断片的に記されている著者の生い立ちや、作家になる(1975年頃)前後の思いも、これだけまとまって読めるのは本書が最初だろう。フィクションとはいえ、
作家かんべむさしを知ることができる貴重な作品となっている。


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