岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、
それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 事件にちょっとでも関わった経験があると、(重要人物=デシジョンメーカーでもないのに)ちょっと書いてみたくなるもの。今回の話題はテスラです。

 トヨタから出資を受けたことで、日本でも注目度が高まったテスラ・モーターズ。グーグルなどの著名企業からの出資や、数々の投資ファンド、アメリカ政府からの補助金(電気自動車では、FORD、ルノー・日産に続く第3位)まで得ていることでも知られています。そのテスラと、何回か話をしたことがあります。テスラの幹部は、いかにもカリフォルニア・ベンチャー企業の兄ちゃんといった連中で、本社もガレージカンパニーそのものでした(本社はシリコン・バレーのパロ・アルトにあります)。何せアップル発祥の地なので侮れませんがね。

 一点注意しておかなければならないのは、テスラが作ろうとしている電気自動車は、日本で“そこだけ”注目されている“エコな車”ではないということです。最初に作られたモデル(現在のテスラ・ロードスター)はロータスと共同開発されたスポーツカーで、世界で最高クラスの加速性能を誇っていました。ガソリンエンジンに比べてモーターは一気に加速が可能で、その性能は一般のスポーツカーの何よりも早いと彼らは主張しています。エコは結果であって、要するに、早くてスマートでカッコいいものこそが目的なのです。アメリカ人の好きそうなビジョンですよね。なので、グーグルはともかく、トヨタが「これで電気自動車も万全だ」と言って出資している意味がちょっと分かり難い。

テスラ・モーターズ

 さて、自動車と言えば北京でモーターショーが開かれて盛況です。日本での報道は相変わらず中国の模倣車を揶揄する内容ですが、実はデザイン以外の中身は格段に進歩しているのです。これは製造業全般に言えますが、最近日本の製造業の中国シフトの様相が変わってきていることはご存知でしょうか。

 過去日本の企業が海外に展開する場合、その傘下の部材メーカを巻き込んで移転する例が大半でした。つまり日本のシステムをそのまま海外に持っていくわけですね。しかし、今は違ってきています。高コストの日本系メーカは使わずに、中国のメーカを使うように変わってきました。

 中国でも日本の技術を入手することが簡単にできるようになっています。例えば、昨年来の不況でリストラを進め、多数の事業を切った日本メーカーの技術者が中国の企業に雇用され、結果的に同レベルの商品が作れるようになっています。匠の技術という日本の命綱ですが、日本人しか継承できない訳がありません。

 この結果、ファイナンスを行う日本の本社(最小限の社員=日本人)、設計製造を行う工場または生産委託工場(大多数の社員=外国人)の構造に変わってきました。大手の企業の下に無数の中小企業がぶら下がって雇用関係を維持しているシステムは、少なくとも日本の製造業ではなくなる方向です。モノ作り企業が人々の生活を支える時代は終わりつつあります。アメリカでは、ローカルに製造工場が必要な分野を除き、もう既にそうなっています。

 中国企業に弱点があるとすると、今の企業数が多すぎることでしょうか。非常に効率が悪く、レベルがまちまちです。しかし、例えばアメリカの自動車メーカはかつて300社もあったそうですから、やがて大規模な集約が行われ世界企業へと変わっていくのでしょう。


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