岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、
それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

 電子書籍の時代です、と書くと異論百出の今日この頃。アメリカでは電子書籍の売り上げがハードカバーを上回ったなど、景気の良いニュースが入ってきますが、現実の普及率はまだ低く(5%前後)、高収入層に偏在していることがわかります。逆にいえば、これからの商品なのですね。

年収と普及率の関係
garbagenewsからの引用

 また、実際の販売金額をみると、アメリカより日本のほうがまだ大きいことが分かります。とはいえ、これらの電子書籍は主に携帯コミック(成人/ボーイズ/ティーンズのエロ系)に支えられてきました。一般書籍が多いアメリカとは内容に大きな隔たりがあります。その一方、日本では紙ベース出版の急激な落ち込みにより、業界全体が存亡の危機に立たされています。インターネットの普及と、メディア文化の変貌が原因とされる現象です。これを見ても、アメリカの状況をそのまま日本に当てはめることはできませんよね。そんな背景があるからこそ、未開拓であるコミック以外の電子出版に対する期待が急速に高まっているわけです(Impress掲載「電子書籍の(なかなか)明けない夜明け」を参照)。

電子書籍売上額 販売額の内訳
2009年の売上額の対比と、日本での電子書籍の内訳(上記記事からの引用)

出版業界の衰退
コミックを含め、ピーク(1996年)比で7000億円も縮小した出版業界(同上)

 なので、各社は電子書籍に走るわけですが、ここで最大の課題はコンテンツになります。こちらの記事では、端末などのハードが普及前で十分な販売部数が期待できない段階では、書籍流通業者が行っていた委託販売制(前金の支払い)に相当するものがないと、コンテンツホルダー(作者)/出版社の創作/電子化コストが負担できないだろう、と説明しています。初期の段階では端末普及台数が少→書籍販売部数も少→売れないのでコンテンツが増えない。どこかで見た、お馴染みのデフレ・スパイラルから抜け出せない、という理屈になります。

 ただし、このままでは出版業界自体が崩壊するわけですから、何もしない訳にはいきません。国内で攘夷を唱えて状況の変化を待つか、普及による市場拡大を期待する立場で開国するか。しかし新しいビジネスモデルに乗る場合は、出版/印刷/流通業界に雇用される、少なからぬ人に影響が出るでしょう。

自炊の実情
PDFファイルの表示(Locusは自炊ではなく版元提供のPDF)

 さて、最後は「自炊」です。一部の著名人もこのシステムを(一応)合法的に利用していて、まあ自分で行う分には全く問題ない。とはいえ、機材を揃える手間を考えると、代行サービスを利用する人もいるでしょう(訴訟リスクのある業者も多い)。筆者も試してみましたがまあ読めます。業者によってサービスがばらつくものの、概ねスキャン1冊100円前後(送料別)が相場。文字認識させて、検索込みのPDF(PCのAdobe Readerで全文検索できる)にする場合は、別途手間賃を取られます。

 電子書籍端末で表示すると、上の写真のような見え方になります。生のままではやや小さい感じ、昔の文庫程度の文字でしょうか。拡大すれば問題ありませんので、必要に応じて変えてやる方が読みやすいでしょう。自分でスキャンできる場合は、端末に合わせて余白の調整をすれば、もう少し良くなるかもしれません。

 コンテンツ供給の課題は、今年の間に何らかの動きが出てくると思います。マニア向けの自炊は当面続くでしょう。紙で残さなくても問題ない書物・書類は多数あります。PDF化してもPCでしか読めなかったものが、端末で読めるのですから普及が進むでしょう。


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