みだれめも・出納日記 第5回 (11年8月)

水鏡子


8月1日
 7月の総支出:460,708円。内26万円は生命保険の一括支払分。これまで自動引落しだったので、見落としていたのだが、生命保険、火災保険等の掛け金が年間50万円近くある。4月−7月の4カ月の出費が180万円。今年の年間生活支出300万は断念せざるを得ない状況だが、来年目標達成するためにも、現在より2割方節制生活を目指す必要がありそうだ。ただし、毎月関東・東海地区に旅行していることや、本代支出の増大は引込もり対策としても維持すべきものだと思う。
 7月の購入書籍:140冊 24,247円 今年累計1,156冊。

8月第1週
 茅田砂胡『天使たちの課外授業』を読む。
 前田珠子『鬱金の暁闇 H』を読む。
 橋本和也『世界平和は一家団欒のあとに@〜I』を読む。

 法事が終わる。リフォームの準備にかかる。

 さんちか古本市に行く。1万円近い散財をする。
 山田風太郎『運命の車』1000円。貸本屋流れで状態はあまりよくないのでこの値段。喜んで買う。『戦中派不戦日記』番町書房版1000円。武田泰淳『未来の淫女』1000円は題名のせいで。
 前回行った時と同様に、早川SFシリーズが300円均一で大量に。HFマークがついているのがたくさんあって、だぶってもいいやとばかばか買う。SFマークとHFマークのダブリ本がたくさんできる。異装本だからダブっても構わないなどと言っていると「本とひみつ」のあのひとたちと同類になる。道を踏み外さないよう気をつけよう。じつは刷部数から考えると、SFマークよりHFマークの方が部数が多かったりする。入手した300円本の中には『クリスマス・イヴ』もある。今度買うときのために持ってないHSFSのリストを作ってみる。103冊もある。昔、図書館や高校の図書室で借りて読んだ本がたくさん。それにSFマガジンで半分以上読んでいて買わなかったりした短編集などである。まちがいなく持っていたはずなのに見当たらなくなった本もいくつか。金背と日本SFがそれぞれ20冊ほど。1冊300円なら、全部集めても3万円。コンプリートめざしてがんばってみようかな。「スカイラーク」や「ペルシダー」を集めることに抵抗があるのだが。

金曜朝、米株500ドルの大暴落。日本株の寄りつきストップ安を期待して大量発注。1株も買えず。

 アマゾンを初めて利用する。東京で日下氏との雑談で佐伯俊夫の風太郎表紙画集(『夢隠蛇丸』)が刊行されていることを初めて知ったため。ネット発注を避けて書店注文をしようと思ったら、中古品が4掛けで買えることがわかったから。続いて復刊ドットコムで「はみ出しっ子」6300円のCDを発注する。こういうことになるから、ネット注文は避けていたのに。やばいなあ。生まれてこのかたぼくが買った出版社系の商品で5000円を超えたものは10冊前後しかないのだ。ちなみに購入本のうち、最高額の商品は同じ復刊ドットコムから刊行された『三原順秘蔵作品集』12,000円。あれはオリジナルだが、今回は復刻もの。
 届いたものを聞いてみる。評価額:500円。

 日曜日、普段よりも朝早く家を出て、再度さんちか古本市に。早川SFシリーズ12冊購入。うち1冊は損傷が大きな『人間以上』の買い直し。二上洋一『少年小説の系譜』800円、ロレンス・ダレル『トゥンク』500円、多岐川恭『影あるロンド』1000円、山川方夫『愛のごとく』1000円など。うしろふたつは「本とひみつ」後遺症の気がする。さんちかのあと心斎橋、難波のブックオフを回り、日本橋に足を伸ばす。収穫はあまりなかったが、それでも2000円ほど散財。きれいな山田風太郎忍法全集(新書)があってダブリ覚悟で4冊購入。日本橋では『大帝国』の中古価格がめちゃくちゃ安い。いいゲームだと思うのにね。
 予定ではもう何か所か回る予定で地図を準備していたのだけど、疲労で歩けなくなった。日ごろ動き回らないので体力が落ちているなあと実感した。

8月第2週
 ナオミ・ノヴィク『テメレア戦記C』を読む。
 竜つながりで榎木洋子『龍と魔法使い@〜I』『龍の娘編@〜B』『外伝@A』『公式ガイドブック』を読む。

 株式市場が大荒れ。ストップ安近辺で再度大量発注。予想以上に底堅く再度空振り。
 資金を寝かしてもしかたがないので、当面の財産株として武田薬品を買う。

 『夢隠蛇丸』が到着。変な本。定価4200円の通常版だと思ったら特装本が来た。限定100部31500円と記されているが、限定版ナンバーがなく、帯も付録の版画もない。関係者への配布本といったところか。その意味では不備本だけど、1400円の購入価格を考えれば、むしろ掘り出し物。

 ここ半年ぐらい、右目がすぐはれぼったくなり疼痛が生じる。眼科にかかる。結膜炎も緑も白もないとのことで、安心する。

 突然歯痛が襲う。歯医者に行こうとしたら盆休みに突入する。

 高校の同窓会。早期退職を報告。60歳になる2年後の同窓会はけっこう楽しそう。

8月第3週
 成田良悟『デュララI』を読む。
 渡瀬草一郎『輪環の魔導師H』を読む。
 榎木洋子『緑のエルダ@〜N』を読む。

 歯痛がひどい。水を飲むだけでしみまくる。
 盆明けにほうほうのていで歯科に行く。でっかい虫歯が左右に2つ。とりあえず痛みの激しい片側を治療。仮詰め治療後、麻酔が切れた段階で猛烈な痛みが出てくる。まる一日発熱して動けなくなる。こんなことは初めて。

 ローソンエヴァキャンペーン。菓子類2500円買い込んでクリヤーファイルとポストイットを入手する。

 光TVからの勧誘。スカパーより安い。ビデオ見放題のサービスがあるという。2ヶ月間の無料視聴期間があって、その間だけでも入らないかと誘われ、承知する。その間の見放題ビデオをコピーするというのもいいかもしれない。

 ブルーレイ・レコーダーを買いに行く。
 4万円くらいする。買ったテレビより高い。気持的に釈然としないので今日のところは断念する。家電店近くのパチンコ屋にはじめて入る。
 大勝ちする。生まれて3度目の6桁勝利。ブルーレイの購入に障害がなくなった。
 購入は日を改めるとして、とりあえず無駄遣い。パチンコホール専用のエヴァ・アイテム(タンブラー)を2つ、5,000円。暴利である。スーパーでタイムサービス商品を普段の倍量。高いものを買うのでなく量を増やしてしまうところが、われながら貧乏性の贅沢である。

 歯の痛みが取れない。この状態で週明けにかぶせをして支障がないのか不安になり、歯科に報告を入れる。

 京フェスから長谷敏司インタビューの打診がある。承諾するが生まれてこのかたインタビュアーの経験がない。かなり不安。

 例会に、大阪転勤になった代島正樹が来る。青木社長に青心社創業秘話その他を聞く。ぼくもはじめて聞く話たくさん。

 来週からリフォーム。部屋を片付けなければ。

8月第4週
 雨木シュウスケ『鋼殻のレギオスQ』を読む。
 榎木洋子『乙女は龍を@〜F』『ウミベリ物語@A』を読む。
 多根清史『教養としてのゲーム史』を読む。

 結局、土壇場までリフォーム部屋の片づけができず、前日は徹夜。4年間使っていない台所用品は油まみれほこりまみれ。残すのか? 残す意味があるのか? と深刻に悩みながら捨てる決断がつけられない。新しくなったキッチンに油まみれの鍋とかフライパンとかくすみの出ているタッパーとかをもう一度並べるより、全部捨てて新品を並べたほうが絶対にいいと思うのだが。金額的にもたぶん数万円で済むはずなのだが。壊れてないものを捨てることに良心が咎める貧乏性。迷いつつ、詰め込む箱もなくなって、最後はゴミ用ビニール袋に放り込み隣の部屋に押し込む。

 リフォームが始まる。となりで一所懸命働いている横で、さすがにスパイダーソリティアはできない。みだれめもを書く努力をする。
 目張りをしてあるのだけど、工事1日で生活部屋一面にうっすらと粉塵が積もる。パソコンその他は大丈夫だろうか。

 大勝ちした同じ店の同じ台に行って、前回ほどではないがまたかなり勝つ。これで7月8月2カ月分の遊興費がチャラになった。ギャンブル運絶好調ということで、高値覚悟でビックカメラとサイゼリヤの優待株を少々、年初来安値更新中のリコー株を拾う。
 調子に乗って、パチンコ屋に。定休日。がっくりして違う店に行き、「佐武と市」をみつける。惨敗する。
 翌日気負いこんで再度パチンコ屋に。打っていた台がなくなっている。呆然としてふらふらといろんな台に手を出す。惨敗する。
 電気屋に行って一番安いブルーレイレコーダーを35,000円で買う。帰りにパチンコ屋に行く。惨敗する。2度目の大勝ち分がすべて吹き飛ぶ。馬鹿である。


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