岡本家記録(Web版)(読書日記)もご参照ください。一部blog化もされております(あまり意味ないけど)。


 ということで、ここでは上記に書かれていない記録を書くことになります。本編は読書日記なので、
それ以外の雑記関係をこちらにまわしてみることにしました。

SFマガジン2015年8月号

 さて、堂々完結したSFマガジン連載企画「ハヤカワ文庫SF総解説」、始まる前に一度記事を書きましたが、今回は2000冊がどのようにレビューされたかを分析することにします。

シリーズものが占める割合

 まず、2000冊を500冊づつ区切ってレビューしていたはずなのに、なぜ3回で網羅ができるのか。各号で掲載されたレビューの数は、SFマガジン2015年4月号の1-500で241項目、6月号の501-1000で204項目、8月号1001-2000になると1000冊あるはずなのに263項目しかありません。その差分がシリーズや連作ものに相当し、まとめて1項目に充てられています。例えば500冊近い《ペリーローダン》でも、カウント上は1項目になります。《デューン》などは、息子が書いた別シリーズまで1絡げで1項目、ちょっと乱暴すぎるような気も。ただ、そういう形のシリーズものが時代が下るほど増え、新刊の75%を占めるまでになっています。

作家の分布

累積グラフ

 全体で何人くらいの作家が紹介されてきたのかが上記で分かります。2000冊(708項目)に対して318名、作家あたり平均2項目といったところでしょうか。上位15名(作家数の5%)で、項目数の約25%程度を占めています。クラーク、ハインライン、ヴォネガット、アシモフ、ディック、レムの順位。以降の作家の中には、ポール・アンダースンやシマック、ローマー、ファーマーら、目録にない絶版作家も含まれています。

 この分布の詳細は、上記下側にある累積グラフを見ると、より分かりやすくなります。横軸は項目数の多い順に並べた作家の数(最大値が318)、縦軸の左は項目数で棒グラフに対応します(最大値は23)。縦軸の右側は、棒グラフの項目数を累積したもので、面状の積み上げグラフに対応します(最大値が708になる)。赤枠部分は項目数が3以下の作家で268名、項目数の累計でちょうど半分あたりになります。逆にいうと、318-268=50名の作家(作家数の15%)で項目の50%を占めています。また、1項目だけの単発作家が199名(作家数の63%)もいます。少し偏っているともいえますが、アメリカの富裕層/貧困層ほどではありませんね。

レビュアー分布

レビュアー累計分布

 上がレビューを書いた人数、128名は破格です。毎回100名で一人平均6項目を担当したことになります(2000番の『ソラリス』だけ2名で担当しているため、レビュアーの担当総数は709項目となっています)。トップは断トツの堺三保、作家の山本弘はクラークやトラディショナルなSFを多数担当、ベテラン渡辺英樹も幅広く担当しています。それ以降は、比較的若手の評論家が続いています。

 同様ですが、下のグラフの横軸は、項目数の多い順に並べたレビュアーの数(最大値が128)、縦軸の左は項目数で棒グラフに対応します(最大値は24)。縦軸の右側は、棒グラフの項目数を累積したもので、面状の積み上げグラフに対応します(最大値が709になる)。赤枠部分は項目数が9以下のレビュアーで103名、項目数の累計でちょうど半分あたりになりますね。128-103=25名のレビュアー(レビュアー数の20%)で項目の50%を占めています。このあたりは作家の分布と大きく変わらないのですが、レビュアーで1項目だけの担当者は12名(レビュアーの9%)しかいません。希望者が多く、出来る限り複数作品を担当してもらうように、調整が行われたためかもしれません。

 これを見ると、作家はどうしても人気が偏りがちになることが分かります。マイナーな作家は2つ目(2シリーズ目?)が難しい。またシリーズが多くなると、叢書としても硬直化してしまいます。何らかの変化が必要な時期に来ているのかもしれません。

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